justlifeーワークショップで顧客を惹きつけるオーガニック店

 

Organic is a part of your life

マレーシアのオーガニック食品店のパイオニアといえば「justlife(ジャストライフ)」だ。
1999年にクアラルンプール郊外で小さな店を始めて約20年。現在では、クランバレーとペナン、マラッカに6店舗を構えている。

店内には、ケミカルフリーやオーガニックの食材、シャンプーや歯磨き粉などの雑貨がぎっしり。
一部の赤ちゃん向け食品には牛乳成分が含まれているが、それ以外は卵や牛乳などを含まない完全植物由来の食品だけを置いている。

 

 

justlifeの店内

 

 

創業者の一人であるケリーさんは「オーガニックは生活の一部」と語る。

化学薬品で汚染されていない土壌には、良質のバクテリアがたくさん含まれている。そんな土壌で育った野菜には人体に必要なバクテリアがたっぷり付いているだけでなく、栄養素もギュッと詰まっているのだ。

また、オーガニック食品を購入することは、オーガニック農場や生産者がオーガニック食品を作り続けられるようにサポートすることであり、化学肥料や殺虫剤による土壌汚染をこれ以上広げないことにもつながる。

「オーガニック食品を売れば売るほどお客さんが健康になるだけでなく、地球環境を守ることにもつながる。それが私のモチベーション。発酵食品や新しい農法など、新しく学ぶことも多くて毎日わくわくしている。オーガニックのような、やればやるほど幸せになるビジネスはほかにはないと思う」

 

 

justlifeセミナー力を入れているワークショップでは、ケリーさんが講師として教えることも。

 

 

初めはオーガニックに対して懐疑的だったお客さんも、justlifeが力を入れているワークショップやクラスなどに参加してオーガニックのすばらしさを知ると、次第に変わっていくという。
商品を買う際に「値段」ではなく「品質」で選ぶようになり、不要なものを買わなくなる。ライフスタイル自体が変わるのだ。

 

 

 

ドイツからオーストラリアまですべての仕入れ先を訪ねた

海外からも多くのオーガニック製品を仕入れているjustlifeだが、主に海外を周るのはケリーさんの夫の役目だ。海外のオーガニックの展示会などにも顔を出し、新しいブランドや製品はもちろん、新しいオーガニック農法や、ビーガン料理の調理法など、最新のトレンドも積極的に取り入れる。

 

だが、もちろん、新しいものをなんでも取り入れるわけではない。
「顧客の代わりにいいものを選ぶのが私たちの役目」と、justlifeではすべての仕入れ先を訪問し、それから取引を始める。品質はもちろんだが「一番大切なのは生産者のオーガニックに対する情熱」と考えるからだ。

国内のオーガニック農場はもちろん、オーガニック先進国のドイツ、フランス、オーストラリアなど海外の仕入れ先も訪問する。味噌を製造している日本の会社「無双」も訪問した。

 

「オーガニックのビジネスはそれほど儲かるものではないし、一筋縄ではいかない。試行錯誤を繰り返し、だんだんいいものが出来ていく。だから『化学薬品で土壌を汚すようなことはしたくない』と強く思っている生産者でないと長く続けられないし、いい作物や製品も作れないの」

 

 

justlife野菜など

 

もうひとつ大切にしているのが、取引が「フェア」であること。

「いいものが高いのには理由がある。いい企業ほど、労働者から搾取はせずにフェアな取引を心がけている。スタッフや仕入れ先などにきちんと対価を払うと、その分値段は高くなる。でも、フェアじゃないと長く続けられないから、サポートしないと」

 

 

 

「オーガニックは値段が高い」は本当か?

では、オーガニック食品は富裕層しか買えないほど高いのかというと、必ずしもそうではない。

マレーシアでは生産できないセロリや、生産が難しいトマトは、確かに値が張る。
しかし、キャメロンハイランドなどで育った地場産の葉物野菜は、3リンギット程度のものもあるなどリーズナブルだ。

質がいい食品を必要な分だけ買えば、すべての食材をオーガニックに切り替えてもそれほど食費が増えるわけではない。

 

また、オーガニック食品を消費することは、いい土壌が育んだ栄養たっぷりの作物をいただくことであり、その土壌を守ることだということに想いを馳せれば、数リンギット余分に支払う価値はありそうだ。

 

 

justlifeオーガニック

 

 

 

家で料理して欲しいから発酵ワークショップを企画

店舗数が増えて経営も順調だったが、ある時ケリーさんは、サプリメントを購入する人が多いことに気づいたという。外食で摂取できない栄養素をサプリで補っているようなのだが、それでは健康的な食生活とは言えない。

そこで始めたのが、オーガニック食材の料理方法を教えるためのワークショップだ。

 

ワークショップで教えるためのレシピを開発するために、2015年には店舗内にカフェをオープン。

縁あってそのカフェで働くことになったのが、日本人シェフの伊藤淳さんだ。日本では自分の農場で作ったオーガニックの野菜や米を使ったレストランを経営していたという、筋金入りの「オーガニック料理専門」のシェフである。

 

 

オーガニック専門のシェフ、伊藤淳さんオーガニック専門のシェフ、伊藤淳さん。

 

 

東南アジアで仕事を探していた伊藤さんは、たまたまjustlifeのことを知り、経営者の一人であるケリーさんの妹を訪ねたところ「お互いにいろんなことを学びあえそうだ」と即採用に。この2年間、まさに学び合いつつカフェの経営を軌道に乗せてきた。

 

ケリーさんと伊藤さんが今取り組んでいるのが「オーガニック × 発酵食品」というコンセプトのワークショップだ。
ワークショップをするなかで「忙しい現代人が家で健康的な食事を料理するには、どんな工夫が必要か」と考え続け、たどり着いたのが「発酵食品」だったのだという。

味噌、キムチ、ザワークラウト、南インドの朝ごはんトーサイのような発酵パンケーキ、
そしてマレーシアやインドネシアに伝わるテンペ……。
野菜や穀物は発酵すると栄養価が増し、消化しやすくなるうえ、保存もきく。忙しい現代人にぴったりだ。

好奇心旺盛なケリーさんは、自らも日本で麹を買ってきて味噌を作ったり、菌を買っていろんな豆でテンペを作ったりと実験を重ね、伊藤さんも、オーガニックの米ぬかが手に入らないので、店で売っている麦のぬかを使ってぬか漬けを作ってみたり……。
ワークショップでシェアしているのは、いわば二人の「実験」の成果なのだ。

 

「発酵食品は先人の知恵。手軽に、しかもオーガニックの食材を使った発酵食品を作って、健康的な食生活を送れるような知恵をワークショップでどんどん紹介したい」とケリーさんも伊藤さんも本当に楽しそう。

 

ケリーさんは、「Organic is so wonderful, I cannot live without organic(オーガニックなしの人生なんて考えられない)」というが、それほどの魅力がオーガニックにはあるようだ。

 

 

【企業名】 justlife (ジャストライフ)
【住所】 6店舗:TROPICANA AVENUE、THE GARDENS、Subang Jaya、IOI Boulevard(Puchong)、Melaka、Penang
※カフェは、TROPICANA AVENUE店とTHE GARDENS店のみ
【電話番号】 603 7890 2727(TROPICANA AVENUE)
【営業時間】 店舗により異なる
【定休日】 無休
【予算】 日替わり弁当 RM23など
【喫煙】 不可
【WEBサイト】 https://justlifeshop.com/
【Facebook】 https://www.facebook.com/justlifeshop

※掲載内容は2018年2月時点の情報です。