マジェスティックホテル クアラルンプールのアフタヌーンティ

クアラルンプールの創成期、エリートの社交場だったホテル

KL在住の日本人にも絶大な人気を誇る、The Majestic Hotel Kuala Lumpur(マジェスティックホテル クアラルンプール)のアフタヌーンティー。1000株もの胡蝶蘭が咲き乱れる温室「The orchid conservatory(オーキッドコンサバトリー)」で紅茶と軽食をいただきながら過ごす午後は、至福のひと時だ。

 

そんなアフタヌーンティーを楽しむ際にぜひ知っておきたいのが、クアラルンプール最古のホテルといわれる開業1932年のThe Majestic Hotelの歴史である。

 

19世紀半ば、スズが発見されたことで急速に発展しつつあったクアラルンプールには、英国植民地政府の役人のほか、英国系銀行などのビジネスマンも多く住んでいた。

当時、経済の中心地だったのは、現在のチャイナタウン、政治の中心はメルデカ広場、そして、メルデカ広場裏の丘は英国人エリートたちが住む住宅地となっており、1886年に開業し、今も現役のクアラルンプール駅がその南側にあった。当時のクアラルンプールの街は、半径500メートルほどの小さなエリアにぎゅっと凝縮されていたのである。

 

 

クアラルンプール駅前の、英国人居住区からもほど近い一等地に作られたThe Majestic Hotelは、ダンスフロア、イギリスから輸入した家具や銀食器、当時まだ珍しかった温水のシャワーなどを備えた最高級のホテルとして開業し、たちまち英国人やマレーシア人エリートが集う社交場となった。週末にはパーティが開催され、華やかに着飾った人々が、イギリスやアメリカから来たミュージシャンの演奏でダンスを踊っていたという。

 

その後、2度の戦争を経験しつつも営業を続けていたが、1970年代に入り、続々とオープンした近代的なホテルが人気となり、1983年に閉業。しかし、歴史的建造物として政府の保護を受け、一度はアートギャラリーとして利用されたが、2012年にYTLグループが政府の認可を受け、改修・増築してホテルとして再出発を切ったのである。

 

改修を経てもなお、クラシカルで品のある建物や調度品が醸し出す雰囲気からは、古き良き時代の華やぎが感じられる。ベルボーイやウエーターのコロニアル風の制服もノスタルジックで、ホテル全体が映画のセットのようだ。

 

 

 

魅力あふれる優雅な3つのサロン

ホテルは、再出発する際に増築されたTower Wingと、1932年に建てられたMajestic Wingから成り、アフタヌーンティーをいただけるのは、歴史あるMajestic Wingだ。

 

 

アフタヌーンティーをいただく席は3つのサロンから選べる。

ピアノの生演奏が楽しめるColonial cafe(写真上)。

落ち着きのあるThe drawing room。これは、家庭にゲストを招いた際、食後、紳士達がアルコールやシガーを楽しんだという英国の文化に因んで設けられた部屋だ。

そして今回訪れた、1000株の胡蝶蘭に囲まれた人気のThe orchid conservatory。

特に蘭の部屋は人気が高く、週末は予約をとるのも難しいほどだが、甲乙付けがたいほど、どの部屋にもそれぞれの魅力がある。

 

 

 

マレーシアのエッセンスをプラスした英国スタイル

Majestic Hotelのアフタヌーンティーは、英国スタイルにマレーシアのエッセンスを織り交ぜたもの。

まずは、フレーバーティを選ぶ。用意された10種のフレーバーの香りを楽しみながら、今日の茶葉を選ぶ。ピシッとスーツを着こなしたウエーターが、紅茶の種類についてなども説明してくれる。

うれしいのは、紅茶が冷めないようにキャンドル式のティーポットウォーマーが用意されていること。ゆっくりと長居しても温かいお茶を楽しめるのだ。

 

 

 

丸い3段の飾り棚には、下からサンドイッチ、焼き立てのスコーン、ホテル専属のパティシエによるスイーツ類と、トラディショナルなラインナップの軽食が盛り付けられている。

 

 

 

驚くのは、そのあとに登場する熱々のマレーシア風のスナックだ。

季節にもよるそうだが、今回はチュンパダ(ジャックフルーツに似た南国の果物)のフライ、ベイクドポテトなどボリュームたっぷり。ほかに、エッグタルトなど点心が登場することもあり、クアラルンプールを訪れる観光客に好評だそうだ。

 

 

 

最後に、冷たいアイスミントジンジャーティーがサーブされる。これは、消化を助け、気分をリフレッシュするために用意されている。

贅沢な午後のひと時を楽しんだ後は、多民族が共存するマレーシアの歴史に思いを巡らしつつ、歴史的建造物や観光スポットが点在するホテル周辺を散策するのもおすすめだ。

 

 

【店舗名 】 The Majestic Hotel Kuala Lumpur(マジェスティックホテル クアラルンプール)
【住所】 5 Jalan Sultan Hishamuddin, 50000 Kuala Lumpur, Malaysia
【電話番号】 603 2785 8000
【営業時間】 アフタヌーンティ PM3:00 - PM6:00
※予約がおすすめ
【定休日】 無休
【予算】 アフタヌーンティの価格は場所により異なる(提供されるメニューは同じ)。
Colonial cafe  RM60/人 (週末はRM70)
The drawing room RM80/人(週末はRM90)
The orchid conservatory RM110/人 (週末はRM120)
※すべて税サ込み
【個室の有無】 The drawing room(最大18人)、
The orchid conservatory(最大20人)
【喫煙】 不可
【WEBサイト】 http://www.majestickl.com/dining.html