ASEAN・マレーシアのブロックチェーン・仮想通貨革命

仮想通貨に関する規制が未整備なマレーシアでは、大企業が主導する仮想通貨ビジネスは目につかないが、個人レベルでの動きは活発のようで、「ミートアップ」や「コミュニティー」という言葉をよく耳にする。

では、クアラルンプール周辺に仮想通貨やブロックチェーン関連のコミュニティーはいくつあるのだろうか。

共通の趣味や関心を持つ人と出会えるコミュニティーを作ることが出来るプラットフォーム「Meetup」で、クアラルンプール周辺に限定して検索してみた。
「blockchain」で検索すると、ヒットしたコミュニティーは24あった。

内容はさまざまだ。
仮想通貨取引に限定したもの、ブロックチェーンやフィンテックといった技術やシステムにフォーカスしたもの、ブロックチェーンの開発者向けの集まりなどなど・・・。
どれも規模は大きくなく、カフェなどで集まって情報交換する集まりが多いようだ。

今回は、なかでも比較的歴史があり、参加人数も多いミートアップに参加してみた。

 

 

 

KL最大級のミートアップに潜入

1月26日、金曜日の夜、KLセントラル駅近くにある「YMCA」へ向かう。
ほぼ開始時間ぴったりに着いたが、すぐに始まる様子はなく、参加者は会場となる部屋の外で参加費の30リンギットを支払って受付を済ませると、用意された軽食をつまんでいる。

7時半、会場に誘導され、ミートアップが始まった。

この「Crypto Knights KL」は、以前は「Blockchain Rebels」という名前だったが、2017年に改名されたコミュニティーだ。現在では、マレーシアとベトナムで運営されているという。

オンラインで登録しているのは526人だが、当日集まったのは35人ほど。 95%が男性だ。情報交換というよりも、講義に近いスタイルのようだ。

主催者は、Amarjit Singh(アマジット・シン)氏。
blockchain academy(ブロックチェーンアカデミー)の創業者であり校長。そして、この、月に1回程度のミートアップCrypto Knights KLも主催する。

冒頭の自己紹介で紹介されたのは、自身が「The Crypto Currency Certification Consortium (略してC4)」が認定する資格のひとつである「Certified Bitcoin Professional (CBP)」を取得していることや、IT業界で16年のキャリアがあることなどだ。

Singh氏は、プロジェクターを使い、たまには参加者に質問しつつ機関銃のように話し続ける。
かつてはイーサリアムのマイニングも試したことがあるが、電気系統がヒートアップして火事になりかけた話など、ユーモアたっぷりで飽きさせない。

 

Crypto Knights KL

 

 

 

トレーダーやマイナーまで、参加者は多種多様

参加者はさまざまな人がいる。

ミートアップ中のSingh氏とのやりとりでわかっただけでも、仮想通貨の取引をフルタイムで行っている人、仕事をしつつ仮想通貨取引やマイニングをしている人、IT系の仕事をしていてブロックチェーンのシステム構築に興味がある人・・・・・・。
マレーシア人だけでなく、ベルギーやインド出身の人もいた。

開催日の1月26日は、日本の仮想通貨取引所「Coincheck」がハッキングにあったことがニュースになった日だったが、すでにその情報を知っている参加者もいた。

参加者の知識や関心度のレベルは高く、仮想通貨やブロックチェーンに積極的に関わっている人がほとんどのようだ。

この日のトピックは「Fastest way of profitting from Bitocoin & other cryptos in 2018」。
仮想通貨に興味がある人ならもっとも知りたい内容ではないだろうか。

ビットコインやイーサリアムに投資する際に気をつけるべきことといった基本的な注意事項に始まり、統計的なデータに基づいた専門的な解説、2018年に価格が上がりそうな仮想通貨トップ10といった予想まで。
範囲が広いので各トピックは大ざっぱな内容にとどまるが、詳細はSingh氏が運営するblockchain academyで、と自身の本業のビジネスも随所でアピールを忘れない。

アカデミーで学ばなくとも、Crypto Knights KLに年会費を払って会員になれば、ブロックチェーンや仮想通貨の最新情報が得られるらしい。また、ICO(イニシャルコインオファリング)などを予定しているのであれば、コンサルティングも受け付けているという。

 

それなりにネットや書籍から情報を得てきたつもりだが、今回のミートアップで初めて知った情報は多かった。また、さまざまな形で仮想通貨やブロックチェーンに関わっている人と知り合えるいい機会にもなるだろう。

なにより、マレーシアのブロックチェーンや仮想通貨のコミュニティーが予想以上にレベルが高く、活気のあるものだとよく分かったミートアップであった。