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マレーシアの不動産ブームが数年前テレビや雑誌を賑わせたことは記憶に新しいかと思います。
このマレーシア不動産はプレビルドと呼ばれるもの。当時購入された建設計画中、また建設中にあった物件が完成する時期が到来しており、最近弊社でも「物件が引き渡されたものの、日本と行き来する生活で管理ができない」「完成して売るつもりだったが、どこに頼めばよいか分からない」という内容のご相談が増えてきています。

 

1. 怠ってはいけないディフェクトチェック

完成後、デベロッパー(建設会社)から鍵をもらってもそこにすぐ住めるわけではありません。マレーシアや海外不動産では、引き渡し後のディフェクトチェック、いわゆる部屋の不備、欠陥のチェックが必須です。

例えば、床のフローリング材にヒビが入っていたり、ドアが少しだけ斜めに歪んでいたりします。フローリングは小さな傷から床内部を侵食してしまい、完成後2年程で床の総入れ替えをしないといけない状態になったということもあります。通常、マレーシアではこのような不備は完成後2年間、ディベロッパーが補修に応じてきます。ただ、大きな欠陥は完成後すぐに現れません。当初の小さな傷や水漏れから、2年、3年を要して、私たち素人でも判別できる欠陥に繋がります。

では、ディフェクトチェックはどのように進めればよいのでしょうか。弊社でも専門スタッフを配備している程、とても難しい業務です。多少費用は発生してしまいますが、まずは購入された不動産仲介会社に問い合わせし手配をしてもらいましょう。安心を買うという意味で決して節約すべきでないコストだと思います。

ディフェクトチェックでは、デベロッパーに工事の手配をします。管理事務所に電話するだけで手配できることもありますが、通常は写真を撮影し、どのように異常なのかを説明しないといけません。1物件300~500部屋もあるコンドミニアムでは、小さな傷でも1か月、2か月と修理までに時間が掛かってしまうこともあります。
特に、毎年6~7月のラマダン時期は注意が必要です。なぜかと言うと、ムスリムの人々にとってラマダン期間中の夕食は大切な家族や仲間と過ごす時間とされるため、午後4時過ぎには仕事を終えて帰ってしまいます。マレーシアの人口60%以上がムスリムの為、この期間中は工事も何もかも進捗が遅くなってしまうことはマレーシアでは常識です。引き渡し後、欠陥がないかチェックした後に初めて住むことが可能になる、という意識を持ちましょう。

 

 

2. 悩める「借主探し」とその解決法

ディフェクトチェック終了後、投資目的で購入された方はテナント募集が必要です。賃借人募集は、コンドミニアムを購入された時の不動産仲介会社に依頼するのが通常です。ここで注意していただきたいのが、日本でも不動産会社で賃貸や売買に特化した会社が存在するように、マレーシアでも不動産の日本人向け販売では有名であるが、マレーシア向けのテナント募集には力が注げていないという会社もあるということです。実際に、ローカル向け不動産サイト「iProperty」に掲載して募集しているだけという不動産会社も一部あります。

ちなみにこの「iProperty」というサイト。中にはフェイクや詐欺も少なからずあります。物件価格を相場よりかなり安く掲載し、契約段階でいきなり値上げしてきます。また私がマレーシアに来た当時、日系不動産で賃貸をしているところが無かったので自ら賃貸物件を探した際に利用したことがありました。その時は「内覧前に物件を抑えるので、申込金1,000RMだけ先に振り込んで欲しい」という内容のメールと振込先が送られてきました。私は、学生時代を含めてマレーシア歴が長かったこともあり、直観で「怪しい」と察することができましたが、日本人はこのような手口のターゲットにされやすいので注意が必要です。

話を戻しますが、物件保有のオーナー様で不動産賃貸で借主が見つけられない場合は、他の不動産会社へ相談してみるのも一つの手です。日系のマレーシア不動産も各社それぞれ色を出してきています。弊社の場合、高級物件を多く取り扱っていますので、独自の手法で日本はもちろん、ローカルや欧米系の富裕層のお客様へアプローチすることができます。直近でも、マレーシアで仕事をされているオーストラリアやドイツ国籍のプロフェッショナル層のお客様にご利用いただきました。賃借人募集においては、各社独自のノウハウがありますので、会社を変えてみることでこの問題は意外と簡単に解決することがあります。

 

 

3. 出口戦略とタイミング予測

2015年後半の原油暴落の影響で、昨年のマレーシアは為替や経済が大きな打撃を喰らい、不動産価格にも影響を及ぼしました。その為、物件を高掴みしてしまった方から「売ることができない」と売却時期の相談も受けることがあります。

マレーシア不動産の最前線にいて一番感じることは、昨年が底であったということです。実際、賃貸部門はかなり堅調に推移しています。賃料相場も上昇が感じられ、すべての物件ではないですが、クアラルンプール都心部の物件であれば、賃貸契約更新時に賃料価格が値上りする案件もあります。借主はローカル系より外国人が多く、欧米系やアジア・中東系のエグゼクティブ層(いわゆる経営者や大企業の役員、上級管理職)が多くなっています。

売買案件では、クアラルンプール都心部の大きな価格下落はありません。良い物件には、私たちが想像する適正な価格、または想像を超える価格が提示され、私たちも驚きながら売買に携わっています。ただ、案件自体は数年前に比べて確実に減っています。以前は大陸系中国人が相場を引っ張っていましたが、中国政府による規制の影響で中国から送金することが非常に難しくなり、不動産における中国マネーの流入は現在それほど多くありません。その為、不動産売買でバブルになっている状況ではありませんので、中古市場で物件を買うには絶好のチャンスではあります。

賃貸相場に好転が見て取れる環境の中、追って売買相場の好転も期待できるのではないかと思料しています。選挙前に、外国人向けにあらゆる規制を強化することで国内の支持を得る政策を出す傾向にある新興国において、直近で大きく資本流入がされるとは期待されていません。マレーシアに関しては、選挙では与党が過半数を確保でき、ナジブ首相が続投するとの予想が大半で、大きく政変が起きることも考えにくい。そして選挙後、先進国入りを目指す2020年に向けて、外国資本流入政策を取ってくるのではないか言われています。不動産の出口戦略は選挙後から大きく変わってくるのではないでしょうか。

 

 

4. さいごに

私はマレーシア歴も長く、この国の良さもたくさん知っています。ですので、日本人の方に「マレーシアで損した」「騙された」というような想いをしていただきたくない。少しでも良い経験をしていただき、笑顔でマレーシアについての話をしてもらいたいです。せっかく海外の不動産を持たれるわけですから、信頼できるパートナーや不動産会社と相談の上、ここマレーシアで最良の選択ができることを望んでいます。